「桜を見る会」問題で官邸前で抗議集会。改めてその異常さを問う | ニコニコニュース
“新宿御苑の桜をもっともっと楽しもう!”. 一般財団法人国民公園協会. 2016年5月2日閲覧。 ^ 「明治の洋館24選」pp28-31 ^ “新宿御苑で桜を見る会 首相、拉致問題「前進に全力」”. 産経ニュース. 産経新聞 (2018年4月21日). 2018年4月21日閲覧。 ^ “葉桜を前に「桜を見る会」、高木美帆選手ら参加 : 16キロバイト (2,179 語) - 2019年11月21日 (木) 20:05 |
◆「桜を見る会」への政権の対応は

11月28日、小雨がぱらつく寒空の下、「桜を見る会」における一連の問題へ対し、市民団体が官邸前で抗議集会を開いた。
市民団体「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」の呼びかけに集まった市民の他、主要野党でつくる首相主催「桜を見る会」追及本部から、黒岩宇洋衆院議員(立憲民主党)、柚木道義衆院議員(無所属)、田村智子参院議員(日本共産党)、福島瑞穂参院議員(社民党)、高良鉄美参院議員(無所属)の5名も駆けつけた。

集会では、「(安倍首相は)予算委員会に応じろ!」や「(安倍首相は)うそをつくな!」といった声が、方々から上がった。また、参加者に話を聞いたところ、安倍首相が説明責任を果たさない点や、公文書である招待者名簿を廃棄した点に、多くの人が強い不満を持っていた。
本記事では、首相主催の「桜の見る会」及び前夜祭における公職選挙法違反や政治資金規正法違反などの法的問題の部分は割愛し、「桜を見る会」問題への安倍政権の対応に焦点を絞り、経緯や問題点を指摘する。
そもそも「桜を見る会」とは、1952年に吉田茂首相が開催したのが始まり。毎年4月ごろに、皇族や外国の大使、国会議員、文化・芸能、スポーツなど各界の功労者が招かれ、新宿御苑で開催される。来場者は年々増加し、2014年は約1万3700人だったのが、2019年には1万8200人まで増加した。それにともない経費も14年の約3000万円から19年は約5500万円に増加した。
◆「首相枠、政治枠はない」との答弁から一転してその存在を認める
・2019年4月13日 桜を見る会が新宿御苑で開催。
・5月13日 決算行政監視委員会において、宮本徹衆院議員(日本共産党)により「桜を見る会」の支出が昨年の国会で承認された予算計上額の3倍だったことが発覚。
・5月21日 財務金融委員会において、宮本徹衆院議員(日本共産党)による「桜を見る会の開催要項に毎年1万人目安と書かれているにも関わらず、招待状が目安から約5000人多く送られたのはどこの省庁からの推薦が増えたからなのか」との質問へ対し、内閣府の職員は、「各省庁からの数というものは、資料が残っていない。それらは、1年未満の文書というふうに整理し、桜を見る会が終わったので破棄した」と回答。
・11月8日 予算委員会において、田村智子参院議員(日本共産党)が赤旗の報道を引用し、「桜を見る会の参加者が毎年増加しているのは、安倍首相や与党議員の後援会の支援者を呼んでいるからでは?」と質問。さらに「開催要領の逸脱が疑われている。この支援者の方々はどのような功績があるのか?」と追及するも、安倍首相は「個々の個人名等々についてはお答えは差し控えさせていただきたい」との発言を繰り返すのみ。
また、安倍首相は「私は、主催者としての挨拶や招待者の接遇は行うのでありますが、招待者の取りまとめ等には関与していないわけであります」と発言。
・11月13日 朝日新聞の報道で、「桜を見る会」が組み込まれた観光ツアーへの参加を、安倍晋三首相事務所の名義で地元の有権者へ案内する文書が明らかになった。
ツアーの中に、「ホテルニューオータニ」で開かれた安倍首相夫妻同席の前夜祭(会費1人5000円の立食パーティー)が組み込まれていたことも明らかに。
<朝日新聞:(時時刻刻)桜を見る会一体ツアー コース選択、首相夫妻と夕食会、すんなり入場>
・同日 午前 菅義偉官房長官は記者会見で、「首相枠、政治枠という特別なものはありません」と述べた。
・同日 午後 菅官房長官は記者会見で、「安倍首相の判断で、来年度の桜を見る会を中止にすることにした」と述べた。また、午前の会見では「首相枠、政治枠はない」と発言していたにも関わらず、「慣例として、官邸内や与党にも推薦依頼を行っていた」と一転して、その存在を認めた。
◆野党議員の資料要求の約1時間後にシュレッダーの利用を開始
・11月15日 安倍首相が記者団へ対し、野党が求める予算委員会の集中審議について「国会から求められれば、出て行って説明するのは当然のことだ」と発言。
・11月20日 参院本会議で、招待者選定について「私の事務所が内閣官房の推薦依頼を受け、参加希望者を募ってきた。私自身も事務所から相談を受ければ意見を言うこともあった」と自らの関与を認めた。
続いて、紙智子参院議員(日本共産党)から「(8日の予算委員会で)虚偽答弁だったのか?」と追及されると。首相は「招待者の最終的な取りまとめには一切関与しておらず、虚偽答弁との指摘はあたらない」と述べた。
・同日 衆院内閣委員会において、宮本徹衆院議員(日本共産党)が「桜を見る会」の招待者名簿の資料要求をした同日5月9日に、名簿を廃棄していたことが発覚。
宮本議員は「あまりにもドンピシャリだ。『わかりません』と国会で言い逃れするために、廃棄したのではないか」と追及したが、内閣府職員は「大型のシュレッダーを使おうとしたところ、各局の使用が重なって調整した結果、連休明けになった」と回答し、隠蔽を否定。
また、答弁に立った菅官房長官は、黒岩宇洋衆院議員(立憲民主党)の「安倍夫人も関わったのか?」との追及に対し、「安倍事務所において幅広く参加希望者を募る過程で、夫人からの推薦もあったのは事実だ」と答えた。
<桜を見る会 安倍首相の推薦約1千人 2019.11.20>
・11月25日 参院行政監視委員会において、特定商取引法違反容疑で警視庁などから捜査を受けている「ジャパンライフ」(東京都千代田区、山口隆祥会長)が、安倍首相から2015年の「桜を見る会」に招待されたことを宣伝に利用していた事実について、田村智子参院議員(日本共産党)が追及。
岡田直樹官房副長官は、「個々の招待者については、個人に関する情報であることを鑑みて回答を差し控える」と発言した。
・11月26日 与野党の筆頭理事が国会内で協議し、野党が首相出席の集中審議開催を求めたが、与党が首相の出席を拒否し物別れに。
・11月28日 内閣府がシュレッダーの使用者記録表を追及本部に提出し、野党議員の資料要求の約1時間後にシュレッダーの利用を開始していたことが判明。
また、菅義偉官房長官が記者会見で、招待名簿の電子データも「復元できない」と発言。復元できない理由は、技術的な理由か、ルール上の理由か明言しなかった。
・11月29日 熊谷裕人参院議員の質問主意書に答える形で、首相夫人は「私人」という閣議決定がなされた。
◆経緯から見える問題点
与党の一連の対応を流れにしてみると、ずさんな答弁や国会審議への不誠実さが浮かび上がってくる。特に1番の問題点は、首相や官房長官が国会や記者会見の場で、平然と嘘をつくことだ。
8日の予算委員会において安倍首相は、「招待者の取りまとめには関与していない」と明言した。しかし、野党やメディアの追及が進むに連れ、首相が関与していた客観的事実が次から次へと発見され、結局、20日の本会議において「(招待者選定について)私自身も事務所から相談を受ければ意見を言うこともあった」と自らの関与を認め、8日の発言を修正した。
また、腹心の菅官房長官も13日午前の記者会見で「首相枠、政治枠はない」と発言したが、わずかその数時間後の記者会見で「慣例として、官邸内や与党にも推薦依頼を行っていた」とその存在を認めた。
さらに、首相は15日に記者団へ対し、野党が求める予算委員会の集中審議について「国会から求められれば、出て行って説明するのは当然のことだ」と力強く語っていたにも関わらず、26日の与野党協議で、与党が首相出席の集中審議の開催を拒否し、臨時国会が延長される気配もないため、安倍首相は「桜を見る会」問題から逃げ切るつもりだ。なぜこのように、直ぐにバレる嘘を国会や記者会見の場で平然とつくのか全く理解できない。
もう一つの問題点は、公文書である招待者名簿を廃棄したことだ。名簿が内閣府において保存1年未満の文書だったとしても、共産党議員からの資料要求の1時間後に廃棄処分を開始したのは、あまりにも不自然で情報隠蔽だと疑われても仕方ない。さらに、電子データに関しても復元できない理由を「技術的な理由」か「ルール上の理由」のどちらか明確にしない点にも不信感が残る。
「桜を見る会の話だけを議論するよりも、他に審議すべき重要な話題があるだろう」という意見を耳にすることがあるが、実際には「桜を見る会」だけでなく、本議会や委員会では様々な議論が行われている。「ハンセン病元患者家族に対する補償金の支給等に関する法律案」をはじめとした13本の法律が既に成立し、77本の法律が審議中だ。
「桜を見る会」問題を長引かせているのは野党ではなく、真摯な答弁をせずに、のらりくらりと追及を躱し国会閉会まで逃げ切ろうとしている与党だ。安倍総理は森友問題や加計問題の時の悪い成功体験を引きづるのではなく、国会、そして国民に対し真摯に向き合い説明責任を果たすべきだ。
<文/日下部智海>
【日下部智海】
明治大学法学部4年。フリージャーナリスト。特技:ヒモ。シリア難民やパレスチナ難民、トルコ人など世界中でヒモとして生活。社会問題から政治までヒモ目線でお届け。

(出典 news.nicovideo.jp)
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